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第43話
「このままだと先輩、可哀想だよな……」
ただでさえ学年や住まいといった点で紫呉には不利なのだ。そのうえ周は紫呉の想いに気づいていないのかあの手この手を使って雪也への想いを隠さずグイグイと行っている。誰の目にも明らかなそれに、きっと紫呉も周の想いに気づいているだろう。だから後輩大好きな彼は遠慮して、雪也へ好意を伝えることができないでいるのだろうか。
もしそうだとしたなら、あまりに紫呉が可哀想だ。人を好きになるのなんて突然で、自分でどうにかできるものでもないというのに、それを伝えることができないなんて……。
考えれば考えるほど、グニャグニャと胸が気持ち悪く蠢く。しばらく考えて、由弦は手早く教科書とノートを纏めて持つと立ち上がった。
「サクラ、俺は雪也のところに行くけど、お前も来るか?」
問えば、先程まで面倒だとゴロゴロしていたサクラが勢いよく起き上がった。その小さな顔が嬉しそうに輝いているのが見えて、由弦は小さく笑いながら扉を開け、サクラを促す。
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