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第65話
「……お前らは俺の頭の中が見えてんのか」
「いや~、由弦が分かりやすすぎるだけだよ」
「隠し事下手だからな」
なんでわかった、と言いたげに顔を上げた由弦に対して、蒼も湊もケラケラと笑い容赦なく刺していく。そんな鋭い言葉にプクリと膨れながら、由弦は重い荷物でも背負っているかのようにヨロヨロと身体を起こした。テーブルにくっついていた額と鼻が少し赤くなっているのは見ないフリをしてあげようと胸の内で蒼は呟く。
「さっき、紫呉先輩とちょっと喋ってたんだけど」
モソモソと言葉を探すように由弦は唇を動かす。考えが纏まらないのか、それとも蒼や湊の目を見れないのか、由弦は視線を俯かせたままチョコレートの包装をビリッと破いた。
「紫呉先輩は不幸になるつもりもないけど、でも先輩のハッピーエンドを俺が気にする必要は無いんだって。俺は俺の幸せを見つけりゃ良いって……」
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