「これはもしかしなくても、僕が渡した漫画が関係してるよね～？　しかも僕が願っていたのとは違う方向に活用されちゃったかな？」 　蒼が漫画を渡したのは、この鈍感な由弦が紫呉の、あるいは自分の気持ちをほんの少しでも理解してくれたらと思ってのことだったが、どうやらその思惑は通じることなく失敗したらしい。紫呉に悪いことをしてしまった、と蒼は胸の内で小さく息をつく。 「俺にはよくわかんねぇけど、でも先輩も漫画の話をした時、なんか目つぶって沈黙してたから、多分、蒼の言う通り間違ったんだと思う」 　未だに具体的な間違いが何であったかは、わからないけれど。 「で、蒼が渡した漫画の内容がよくわかんないけど、由弦はそれを紫呉先輩にやって、さっきのハッピーエンドだ、バッドエンドだの話をされて撃沈して、今溶けてるってことで良い？」 　ちゃっかりとチョコレートの袋を開けながら言う湊に、由弦はうぅぅ、と唸りながらも頷く。