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第139話

「由弦は良くも悪くも直情型で、思い込みが激しいから、きっとハッキリ言わないとわからない。誰が言ってもわからない。先輩が言わないと、きっと駄目。先輩はたぶんいっぱい考えているのだろうけど、紫呉先輩は考えすぎると碌な思考にならないって弥生先輩が言っていた。でも、由弦もそう。碌なことにならない。面倒なのは、それが正解だって信じて疑わなくて、なんでか一人で勝手に悲しんでる。だから、もう二人とも考えるのを止めたら良い。碌な事にならないから」  案外感情のままに動く方が良いことだってある。特にこの二人は。  そんなことを淡々と表情さえも変えずに言ってくる周に、紫呉はほんの少し呆気にとられ、次いで苦笑した。 「随分な言い様だな」  だが、返す言葉も無い。

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