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第144話
「あの時のお前にも、言ってなかったか。流石にそこまで覚えちゃいねぇが、言ってねぇようなら今言う。雪也は、弥生が連れて来た子だ。今も昔も、お前は穏やかにニコニコ笑ってる雪矢しか知らねぇだろうが、あいつはずっと、本当の意味で笑うことはしなかった奴だ。笑顔を浮かべるのは、それが仕事だから。何か役に立たなければ自分の存在価値なんて
無いし、与えられる権利もない。ずっと、そう思ってた奴だ。俺は初めて見たよ。何かの役に立たない限り布団を使うこともできないと思い込んで、冷たい床で丸くなってるやつなんて」
人形のような子だった。否、大人によって人形にされた子だった。
「だから、心配は尽きねぇよ。今も昔も、あいつが笑ってたって、それが本当の笑顔なのか、無理してないか、俺も弥生も優も、気になって仕方ねぇ。でもそれが悪いことだとも思っちゃいない。それがあいつの居た場所から無理矢理連れ出した者の責任だからな」
途中で放り投げるというのなら、最初から連れ出してはいけない。雪也には居場所を選ぶ自由さえもなかったのだから。
「でもそれが恋愛感情かって言われたら、それもまた違う。あいつは、そうだな。弟みたいなもんだ。あるいは子供でも良い。守ってやりたいと思うし、幸せになってほしいと思う。だが、あいつに恋愛的な意味で愛されたいと思ったことも、抱きたいと思ったことも、一度もねぇよ。叶うことなら、あいつを誰よりも何よりも大事にしてくれる奴とくっついて幸せになってほしいと願ってる」
そんなこと、もしも恋愛感情を持っていたならば思いもしないだろう? そう言われて初めて、由弦は胸の靄が徐々に晴れていくような感覚を覚えた。
ではあの時、雪也に手を伸ばしたのは……。
いつも拙作をご覧いただき、ありがとうございます!
更新再開初日から日付跨いでしまって大変申し訳ございません(汗)
ようやくPCが何とかなりましたので更新再開いたします。
まだキーボードの大きさに慣れていないのと、今まで学習されていた予測変換が当たり前ですがリセットされているので、キャラの名前など、特に誤字する可能性が大変高いです。徐々に慣れてくるとは思いますが、誤字を発見しましたら教えていただけましたら幸いです。
今日もPC設定に手こずってバタバタしてしまいこんな時間になってしまいましたが、明日からは何事もなければ予約投稿できると思いますので、もう少し早い時間に投稿できると思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
十時(如月皐)
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