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十二日『育児の日』

 あと五分……を繰り返して眠り続ける晴日を前に、信周は腕組みをしていた。  毎朝起こして、支度させて、大学に送り出して。出しっぱなし、脱ぎっぱなし、掃除も洗濯もろくにできない晴日の世話を楽しんでいる自分に気付く。母親にでもなった気分だ。  でものんびりなんてしていられない。出勤時間が迫っている。 「ハル、いい加減起きろ」 「ひゃぁ……やっ……うひゃ、ああぁっ」  全身くすぐられてようやく目が覚めた晴日は時計を見て飛び上がった。 「あぁぁぁ、今日の一限目は大事なゼミなのにぃ、どうしてもっと早く起こしてくれないのぉ」  半泣きでばたばたと支度をする晴日を、信周は冷めた目で見つめる。

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