29 / 368

二十九日『人口調査記念日』

 いつになく真剣な顔でニュースを見る二人。晴日が不安そうに信周の手に自分の手を乗せた。 「人口減少と少子化かぁ」 「俺たちめちゃくちゃ貢献してるね」  それきり二人は口をつぐんだ。少しどんよりした空気になったかと思いきや……。信周が晴日の手を力強く握り返した。 「でもいいんだよ。だってハルがいてくれるおかげで俺は毎日楽しいんだし」  「俺も」と小さな声で晴日が言うと、二人は顔を見合わせ、同時に吹き出した。 「よし。ハル、風呂入ろうぜ」 「うん、入るぅ」  辛気臭いテレビを消し、浴室へ向かう。互いがいればそれが一番の幸せ。愛は無敵だ。

ともだちにシェアしよう!