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二十九日『人口調査記念日』
いつになく真剣な顔でニュースを見る二人。晴日が不安そうに信周の手に自分の手を乗せた。
「人口減少と少子化かぁ」
「俺たちめちゃくちゃ貢献してるね」
それきり二人は口をつぐんだ。少しどんよりした空気になったかと思いきや……。信周が晴日の手を力強く握り返した。
「でもいいんだよ。だってハルがいてくれるおかげで俺は毎日楽しいんだし」
「俺も」と小さな声で晴日が言うと、二人は顔を見合わせ、同時に吹き出した。
「よし。ハル、風呂入ろうぜ」
「うん、入るぅ」
辛気臭いテレビを消し、浴室へ向かう。互いがいればそれが一番の幸せ。愛は無敵だ。
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