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二十日『ローマ字の日』

「ただいまぁ。あれ? いい匂い」 「お帰り、ハル」  先に帰宅していた信周が、苦笑いしながらキッチンから出てきた。 「飯作ってみたんだけど……」 「わぁ、オムライスだぁ」  不揃いな具の入ったチキンライスに卵がぐちゃっと乗っている。お世辞にも美味しそうには見えないオムライスを前に、晴日は嬉しそうに目を輝かせた。さっそくケチャップを手に取ると、さらさらと文字を書いていく。 『Nobu♡』『Haru♡』 「うへへ、食べよ?」 「よし、食おうぜ」    不器用なオムライス。一緒に食べれば、温かい味がする。

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