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三日『ポンコツの日』

「ただいまぁ」 「お帰りあのさあハル、俺のプリン食ったろ?」  バイトを終えて帰った晴日を待っていたのは、思いのほか不機嫌な信周だった。 「ごっごめんね、だって昨日ノブくんいなくて寂しかったの……」  晴日は上目遣いでもじもじと信周を見つめた。   「これ、お詫び……一緒に食べよ?」  神妙な顔をする晴日を見て、信周は少しだけ表情を緩める。差し出された紙袋の中身はバイト先のケーキ屋のちょっぴり高級なプリン。もちろん割引済み。大きな手が俯く晴日の髪を優しく撫でた。 「……あ、いや、俺のほうこそ、ごめん」 「ん」  ――よかった、ノブくんチョロくて助かったぁ。    晴日は心の中でぺろっと舌を出す。     【参照◇六月二日『裏切りの日』】

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