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五日『ろうごの日』
少しだけ水を入れた瓶の蓋。弱ってしまってもうほとんど動かないサワガニを一匹、晴日が水槽からそっと取り出して隔離した。
「まだ見てんの?」
ぽん、と肩に手が置かれ、晴日は信周を見上げる。
「一匹だけじいさんだったのかもな」
「ん」
スーパーで出会ってから、ずっと可愛がってきたサワガニ。昨日から様子がおかしかいことに、晴日は気づいていた。心配そうにいつまでもじっと見つめる晴日を、信周も心配そうにじっと見つめている。
【参照◇四月十九日『飼育の日』】
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