157 / 368

五日『ろうごの日』

 少しだけ水を入れた瓶の蓋。弱ってしまってもうほとんど動かないサワガニを一匹、晴日が水槽からそっと取り出して置いた。   「まだ見てんの?」    ぽん、と肩に手が置かれ、晴日は信周を見上げる。 「一匹だけじいさんだったのかもな」 「ん」    スーパーで出会ってから、ずっと可愛がってきたサワガニ。昨日から様子がおかしかったのだ。晴日は心配そうにじっと見つめている。   参照◇四月十九日『飼育の日』

ともだちにシェアしよう!