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十三日『鉄人の日』

 昨日から晴日が口をきいてくれない。信周がうっかり晴日の日記を見てしまったから。 「なあ、ハル。ごめんって」 「……」 「俺は嬉しかったけど?」 「……っ」  クッションを抱きしめたまま、晴日は信周のほうを見ようともしない。   「……じゃあノブくんもスマホ見せてよ。俺知ってるんだから、ノブくんが何か隠してんの」    晴日は少しだけ顔を上げて捲し立てた。信周は一瞬驚いた顔をして、でもすぐにスマホを差し出す。一人で楽しんではいたけれど、別に隠しているつもりはなかった。そこには大量の晴日の画像。晴日の寝顔、手、背中、尻、そして足の裏にいたるまで。スクロールしてもスクロールしても晴日、晴日、晴日……。 「やだっ、何これ……」 「俺のハルコレクション」    信周は動じない。晴日はスマホを放り出すと、またクッションに顔を埋めた。       【参照◇六月十二日『日記の日』】

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