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十四日『手羽先記念日』

 ぱきっ、ぽきっ……。  晴日は無心で手羽先を食べている。手づかみでむしゃむしゃと。骨がどんどん積みあがっていく。信周が黙って見つめていると、ふと晴日が信周を見上げた。   「……ノブくんも食べたら?」 「ああ、うん」  晴日の機嫌を取るために信周が大量に買って来た有名店の手羽先。豪快にかぶりつく晴日と遠慮がちな信周。二人は黙々と食べ続け、やがて。 「美味しかったぁ」  手も口も油でテカテカにして呟くと、晴日はようやくにっこり笑った。   【参照◇六月十三日『鉄人の日』】

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