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十六日『和菓子の日』

 バイトを終えてスイーツを選んでいる晴日を、同僚の女の子が揶揄った。 「吉永くんってさあ、いつも二個ずつ買って帰るよね。まさか彼女と一緒に食べてるの?」  ほんの冗談のつもりだったのに。晴日は照れ臭そうに笑うではないか。   「えへへ……」 「えっ、ほんと? 彼女いるの? ね、ね、どんな人?」  「彼女」と言われて少し困ってしまったが、晴日は信周を思い浮かべて嬉しそうに笑った。 「えっとぉ……年上でぇ、一緒に住んでる……」 「うっそ、年上? 一緒に、すすす住んでる?」 「うへへへ」    ――大学の先輩? いや、OLに飼われてる的な? うわー、気になる、めっちゃ気になるよー。  さんざん悩んだ挙句、晴日は季節限定のレモンクリーム大福を選んだ。今日もちゃんと、二個。ふわふわと笑う晴日を、同僚が驚愕の表情で見つめている。     【参照◇三月十二日『スイーツの日』】

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