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二日『うどんの日』
「……は? マジ?」
目の前突然現れた、尻。信周がビジネスバッグをごとりと床に落とした音がしんとしたキッチンに響いた。エプロン|だ《・》|け《・》を身に着けた晴日が慌てて振り返る。
「あ、おかえり……えと、だ、だって、この前ノブくん言ってたし……その……うどん、できてるよ……あ、あ、あっためよっか?」
どぎまぎして少しだけ早口になった。じっと見つめる信周の視線から逃げるように、晴日は下を向く。信周の願いを叶えようと頑張ってみたはいいものの。本当は恥ずかしくて恥ずかしくて。一方、暑さも疲れも一気に吹き飛んだ信周は、無言で晴日を抱きしめた。欲を言えば、いつものじゃなくてフリフリのエプロンがよかったのだけど。でもこれで十分。なめらかな肌の感触をしばし楽しんで。はああっと息を吐く。そして、小さな声で「……うどん、食べよっか」と。
こくりと頷いた晴日のエプロンの裾が少し持ち上がっている。恥ずかしそうにキッチンへ向かおうとする晴日を信周が引き止める。
「やっぱ、先にベッド行こう」
信周を見つめる晴日の顔は真っ赤だ。
【参照◇六月三十日『ハーフタイム・デー』】
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