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二十六日『幽霊の日』

「ノブくん、ちゃんとそこいる? 置いていかないでよ」 「……あー、うん」    寝る前に『夏のホラー特集』なんて観たのがいけなかった。    深夜。トイレの中からは信周を呼ぶ晴日の声が絶えず聞こえてくる。晴日に揺り起こされた信周はドアの前であくびをしながらその声に応えた。 「そんなに怖いなら見ててやろうか?」 「それはだめっ」    信周も油断ならないことを思い出し、晴日は大慌てで用を足す。

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