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二十七日『スイカの日』

「右、もっと右、ちがうちがう行き過ぎ、ちょっとだけ左……そこっ、いけぇっ」  晴日の掛け声とともに、信周が振りかぶっていたモップの柄を勢いよく振り下ろした。 「ああああっ、おっしぃい」    晴日の悔しそうな声が聞こえて、信周は目隠し代わりの冷却タオルをずらす。 「うおっ、あとちょっとじゃん。よし、次ハルな」 「任せてっ」  リビング真ん中のシートの上には小振りのスイカ。家具を壁際に寄せて、スイカ割り。  信周は意気込む晴日に目隠しを付ける。その場でくるくると数回回ると、晴日はふらふらと足を踏み出した。

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