209 / 368
二十七日『スイカの日』
「右、もっと右、ちがうちがう行き過ぎ、ちょっとだけ左……そこっ、いけぇっ」
晴日の掛け声とともに、信周が振りかぶっていたモップの柄を勢いよく振り下ろした。
「ああああっ、おっしぃい」
晴日の悔しそうな声が聞こえて、信周は目隠し代わりの冷却タオルをずらす。
「うおっ、あとちょっとじゃん。よし、次ハルな」
「任せてっ」
リビング真ん中のシートの上には小振りのスイカ。家具を壁際に寄せて、スイカ割り。
信周は意気込む晴日に目隠しを付ける。その場でくるくると数回回ると、晴日はふらふらと足を踏み出した。
ともだちにシェアしよう!