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◆八月◆一日『水の日』

 ぷしゅっ。 「うあっ? やったなあ?」  信周の手伝いで晴日が観葉植物の葉っぱに霧吹きで水をかけていた、はずだった。突然顔に水をかけられて、信周は濡れてしまった眼鏡を外す。大笑いする晴日の一瞬の隙をついて今度は信周が霧吹きを奪い取り、晴日に向かってぷしゅっと一吹き。 「ひやぁっ」    ぷしゅ、ぷしゅ、ぷしゅぷしゅぷしゅっ。  きゃあきゃあ声を上げて逃げる晴日を信周が追う。   「うはははは、びしょ濡れぇ」  白くきらめく細かな水滴をいっぱいくっつけて晴日は楽しそうに笑った。

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