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三日『ハサミの日』

「あれ?」    信周の頭を見つめていた晴日が突然大きな声を出した。 「ノブくん、白髪なんてあったんだ」 「えっ、白髪? 嘘だろ?」 「結構あるよ、こっちにもほら、一、ニ、三……」 「マジ!? そんなにっ?」  驚いた信周は洗面所に駆け込み鏡を睨む。しばらくしてとぼとぼと戻ってきた信周の手にはハサミがあった。 「ハル、全部切ってくれる?」 「いいよ、じゃあここに寝て?」    やわらかな膝枕の上で信周は目を閉じる。その眉間にはしわ。よほどショックだったのだろう。晴日が一本一本丁寧に白髪を切っていく。切り終わった後、全部で十数本の白髪を、信周はうつろな目で見つめていた。

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