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五日『計画と実行の日』
タイピングが苦手な晴日は内心焦っていた。両人差し指でぽつぽつと入力していては、課題のレポートがちっとも進まないのだ。
――どうしよう、終わんないよぉ。よし、こうなったら……。
信周はコーヒーを飲みながら新聞を読んでいる。その様子をちらりと伺うと、晴日は上目遣いですり寄った。
「ノブくんあのね、レポートが終わんないの。手伝ってくれる?」
「また? しょうがないなあ」
今までだって、何度も手伝ってもらった。信周の長い指が晴日の準備したメモをものすごいスピードで打ち込んでいく。
「ノブくんすごぉい」
こんなふうに尊敬のまなざしで見つめられては悪い気はしない。信周は頼られるのが嬉しくてつい晴日を甘やかしてしまうのだ。
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