249 / 368

五日『計画と実行の日』

 タイピングが苦手な晴日は内心焦っていた。両人差し指でぽつぽつと入力していては、課題のレポートがちっとも進まないのだ。  ――よし、こうなったら……。  コーヒーを飲みながら新聞を読む信周の様子をちらりと伺うと、晴日は上目遣いですり寄った。   「ノブくんあのね、レポートが終わんないの。手伝ってくれる?」 「また? しょうがないなあ」  今までだって、何度も手伝ってもらった。信周の長い指が晴日の準備したメモをものすごいスピードで打ち込んでいく。 「ノブくんすごぉい」    こんなふうに尊敬のまなざしで見つめられては悪い気はしない。信周は頼られるのが嬉しくてつい晴日を甘やかしてしまう。

ともだちにシェアしよう!