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五日『レジ袋ゼロデー』
「なあ、ハル。最近パン多くない?」
トーストが焼けた。朝食の準備をする晴日を見ながら、信周はコーヒーを淹れ始める。
――たまにはご飯がいいんだけどなあ。
そう言おうとした信周を、晴日がぴょこっと覗き込んだ。
「あのね、食パンのバーコード集めたらエコバッグがもらえるんだよ、ほら」
「へえ、結構集まってるじゃん」
「うんっ、えへへへ」
晴日は応募用の台紙を信周に見せた。景品は可愛い柄のエコバッグ。あと少しで全部たまりそうだ。楽しそうな晴日を見て、信周はこっそり苦笑い。
――まあいっか、毎朝パンでも。
楽しそうな晴日の顔を見ていたら、毎日パンでもまあいいかと思えてくるから不思議だ。晴日は手際よく目玉焼きとサラダを盛り付けている。二人分のコーヒーも入った。信周は晴日のカップにミルクと砂糖を入れると、席に着き、目玉焼きとサラダをトーストにのせた。半熟目玉焼きを割ると、とろとろの黄身がサラダに絡まる。
「見ろよ、ハル。美味そう」
「いいなぁ、俺もやる」
甘いカフェオレを一口飲んだ晴日が、信周のまねをして目玉焼きとサラダをトーストにのせる。
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