279 / 368

五日『レジ袋ゼロデー』

「なあ、ハル。最近パン多くない?」    トーストが焼けた。朝食の準備をする晴日を見ながら、信周はコーヒーを淹れ始める。    ――たまにはご飯がいいんだけどなあ。    そう言おうとした信周を、晴日がぴょこっと覗き込んだ。 「あのね、食パンのバーコード集めたらエコバッグがもらえるんだよ、ほら」 「へえ、結構集まってるじゃん」 「うんっ、えへへへ」    晴日は応募用の台紙を信周に見せた。景品は可愛い柄のエコバッグ。あと少しで全部たまりそうだ。楽しそうな晴日を見て、信周はこっそり苦笑い。  ――まあいっか、毎朝パンでも。  楽しそうな晴日の顔を見ていたら、毎日パンでもまあいいかと思えてくるから不思議だ。晴日は手際よく目玉焼きとサラダを盛り付けている。二人分のコーヒーも入った。信周は晴日のカップにミルクと砂糖を入れると、席に着き、目玉焼きとサラダをトーストにのせた。半熟目玉焼きを割ると、とろとろの黄身がサラダに絡まる。   「見ろよ、ハル。美味そう」 「いいなぁ、俺もやる」  甘いカフェオレを一口飲んだ晴日が、信周のまねをして目玉焼きとサラダをトーストにのせる。

ともだちにシェアしよう!