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八日『木の日』

「あれ?」  いつもの公園を歩いていると、晴日が立ち止まった。桜並木の中に一本だけ、ぽつぽつと花を咲かせている木がある。 「かわいい」    晴日は嬉しそうに木に近付いた。   「あわてんぼうの木だねぇ」 「うん、そうだな」  二人で桜を眺める。好きなときに、好きなように咲けばいい。少し間違えたって、こんなにも綺麗なのだから。夕焼けに雲が映えてピンクに色づいている。

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