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九日『熟睡の日』
深夜近くになってコーヒーを淹れ始めた信周を見て、晴日はしょぼしょぼと目をこすった。
「……眠れなくなっちゃうよ?」
「うん、俺もうちょっと仕事するから。ハル、先に寝てて」
「……ん」
シンとしたリビング。やけに冷える。持ち帰った仕事に思いのほか手こずった。一段落してベッドに入った信周は、先に眠る晴日を後ろからそっと抱き締めた。
――ああ、ハルあったけえ。
寝返りをうった晴日の手足が、ぎゅっと信周に絡まった。晴日の体温に触れる肌が心地よい。溜まった疲れがふっと消えて、信周はいつの間にかぐっすりと眠っていた。
【参照◇二月十八日『安眠の日』】
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