297 / 368

二十三日『おいもほりの日』

 冷蔵庫の野菜室に使いかけの野菜が増えてきた。底のほうに忘れかけていたさつまいもが一つ。 「あ、芽が出てる」    晴日は皿に水を入れ、引っ張り出したさつまいもを置いた。きっとすぐにぐんぐん伸びて、葉っぱや根っこが出てくるのだろう。信周の大事にしている観葉植物の隣に並べてみる。 「へえ、可愛いじゃん」  珍しそうに覗き込んでくる信周を見て、晴日は「ふふ」と笑った。 「ノブくん、今日は残ってるお野菜全部使ってお鍋しよ?」 「鍋かあ、いいねえ。〆はうどんにしようぜ」 「うん、いいねいいねぇ」    何だか楽しい気分になって、二人は顔を見合わせて笑い合う。

ともだちにシェアしよう!