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二十七日『テディベアズ・デー』

 夜中に目が覚めると隣にいつもの温もりがない。信周がリビングの電気をつけてみると、ソファーの上で丸くなった毛布からゴホゴホと咳込む声が聞こえてくる。 「ハル? 何やってんだよ、こんなとこで」 「咳が……止まんなくて……ノブくん起こしちゃいけないと思って……」 「そんなこと気にすんなよ、ほら」    信周は急いで風邪薬を持ってくると晴日に飲ませた。それから体の下に腕を差し入れ、軽々と抱きかかえる。晴日がきゅっとしがみついた。 「軽いなあ、なんかさ、ぬいぐるみ抱っこしてるみたい。ほら、ハルんちにあるあの熊のでっかいやつ」 「ん? ああ、あのくまさん……けほっ」 「急に冷えたもんな。ハル、なにも気にしなくていいからゆっくり休めよ」    信周は晴日をベッドに寝せた。信周の手を握りしめたまま、晴日はゆっくり目を閉じる。

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