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十一日『おそろいの日』

 待ちに待ったバースデー旅行、初日。午前中に一限だけある講義は上の空だった。大学を出た晴日はまっすぐに駅へと向かう。  リュックを背負った信周が手を振っていた。色違いのスニーカーに、互いに色味を合わせたシミラールック。 「ハル、学校お疲れ」 「お待たせ、ノブくん。早く行こ」    晴日は信周の手を引っ張り、ぴょんぴょんと飛び跳ねるようにして改札を目指す。    信周が大きな旅館を予約してくれた。今日はゆっくり食事をして、温泉を楽しむ。もう、わくわくがとまらない。   【参照◇十一月十日『いい音の日』】

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