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九日『国際腐敗防止デー』

 新聞を流し読みしていた信周は、どんよりとしたニュースにふうっとため息を吐いて晴日を見つめた。テスト勉強をしていたはずの晴日は、食べかけのゼリーのスプーンを咥えてぴこぴこ動かしながら、いつのまにかスマホゲームに夢中になっている。  不思議だ。晴日はそこにいるだけで、信周の心を癒してくれる。世間がどんなに騒がしくても、二人でいる空間はいつだって穏やかだ。  

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