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十一日『胃腸の日』

「あれ、ここにパン置いてたはずなんだけど……あっハル!」    うっかり賞味期限が過ぎてしまったメロンパン。処分しなきゃとテーブルに出しておいたはずなのに。 「それ食っちゃだめだよ、期限過ぎてんだろ」  ちょうど晴日が口いっぱいにメロンパンを頬張っているところだった。晴日は少しだけもぐもぐするのを止めてパッケージを確認、そして再び何食わぬ顔でパンを食べ続ける。 「たった四日じゃん。しかも『賞味期限』だし」 「大丈夫かよ、腹壊したらどうすんの」 「平気平気、美味しいよ」    晴日は「ふふ」と笑った。普段からいろいろ気にしないポジティブな晴日だが、こればかりは少し心配になってしまう。でも。晴日の作る料理に、実はごくたまに期限切れの食材が紛れ込んでいることにまでは、信周も思い至らない。  

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