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二十六日『プロ野球誕生の日』

 ぼんやりと野球を見ていた信周が、晴日の肩を抱き寄せて言った。 「なあ、ハル」 「ん?」 「急だけどさ、今年は実家帰らない?」 「ノブくん、仕事は?」 「俺、今年は少し長めに休めるから」 「ほんと? 帰る」 「じゃ、そうしよ」  いつもバタバタするので正月は帰省できなかった。でも今年は……。二人は寄り添ったまま、見るともなしに野球の中継を見続けている。

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