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第2話

「さあさ、カワイイ坊やたち、オヤツの時間ですよ~」  まさに鶴の一声だった。 「は~い」「わ~い」「あ~い」  あれほど収拾のつかない大騒ぎをしていた子供たちが、手作りのお菓子を持った、文維の母の恭安楽(きょう・あんらく)の一言で、一か所に集まり、ニコニコしながら何かを期待して待っている。 「まあ、どの子もとってもお利口さんね。でも、この中で一番のお利口さんは誰かしら?」  優しい笑顔の恭安楽の言葉に、子供たちは互いの顔を見比べる。 (そんなもの、煜瑾に決まっているじゃないか)  文維は口にこそ出さないが、自信を持ってそう見守っていた。 「みんな、先ほどまでお部屋を飛び回っていたのでしょう?オヤツの前に、お手々を洗って来ないと、お利口さんとは言えないわね」  恭安楽の言葉に、ハッとして子供たちは元気に返事をした。 「はい!」「は~い!」「あ~い!」  カワイイ3人組は、それぞれ大はしゃぎで、恭安楽を先頭に、お行儀よく一列に並んで、バスルームに向かった。そこでキレイに手を洗い、ほんの少し遊んで、リビングに戻ってきた。 「文維、子供たちにミルクを運んで来て」 「あ、はい」  母の命令に何故か逆らえず、文維は慌てて誰もいなくなったキッチンに駆け込んだ。 「さあ、3人とも、とってもお利口さんだったので、オヤツは1人2個食べていいことにしましょうね」 「わあ~」「やった~」「あ~い」  恭安楽は、1人1人の前に自分が焼いてきたブラウニーとチーズクッキーを並べた。 「煜瑾は、おかあしゃまの『ぶらーに』を食べていいのでしゅか?」 「『ぶらーに』じゃないの、煜瑾!これは『ブラウニー』っていうの」 「ぶらーにー、ぶらーにー」  子供たちはワイワイと騒ぎながらも、食べ始めると嘘のように静かになった。 「さすがです…お母さま…」  カップにミルクを注いで持って来た文維が、母の手腕を尊敬するように言った。 「あなたのような、気難しい息子を育て上げたのよ。こんなカワイイ、イイ子ちゃんたちなら軽いものだわ」  自信満々に応える母に、複雑な思いが拭えなく文維だった。 「どういう意味です?」

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