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第22話

 同じ男だから、何が当たっているのかはわかる。そして男だから、当たるほど硬くなる理由がわからない。哲司もそれ以上、何も言えない。  だが、絢斗には理由はわかっている。大好きな哲司に触れているから。理性で押さえようとしても、正直な絢斗の体の疼きは、どうしようもない。 「…てっちゃん…」  哲司が絢斗の顔を覗きこむと、いきなり唇を押しつけられた。突然の色気もないキスに、哲司は戸惑いながら絢斗の体を引きはがす。 「ちょ…お前、何してんねん」 「てっちゃん、俺、てっちゃんが好きや。だから初めてのキスも、体に触られんのも、てっちゃんがよかってん」  絢斗が哲司の上に覆いかぶさる。これでは大誠と同じことをしているとわかっていても、衝動は抑えられない。驚きのあまり抵抗されないのをいいことに、色気のないキスを何度も繰り返す。 「はやまんな! ヤケでこんなことするもんやないで!」  唇が離れた隙にそう諭すが、絢斗には逆効果だ。今度は哲司のベルトに手をかけた。 「ヤケと違う! 本気でてっちゃんが好きや!」  ジーンズの前を開け、絢斗は手を入れた。股上の浅い黒い下着から、陰毛がはみ出る。 「てっちゃん…ビキニ派…? めっちゃ小さいの穿いてるやん。もしかして、俺を誘ってる?」 「アホ言うな! 高校生誘うわけないやろ! カッコいい思て穿いとんや!」  確かに筋肉質の体にマイクロビキニは格好いい。ボクサーパンツを愛用している絢斗だが、ジョックストラップに憧れたこともある。いかにもスポーツマンという感じがするからだ。だが、着替えのときに尻を見られるのは抵抗がある。機能重視の下着だが、自分の体に自信がないと穿けないような気がする。マイクロビキニもそうだ。筋肉質の体によく似合う。 「…見せて…」 「はあ?」 「ズボン脱いで見せて! てっちゃん、カッコいいから! てっちゃんの体見れたら、元気出るから!」  俺を押し倒す元気あるやないかい、と反論しかけた哲司だが、できることは何でもすると豪語した手前もある。それで納得してくれるならと、しぶしぶTシャツを脱ぐ。 「さぶっ」  十一月の夜は室内でも冷える。哲司の肌が粟立つ。ベッドの上でジーンズと靴下も脱ぎ、黒のビキニパンツ一枚で正座した。寒さのあまり両手で上半身をかき抱き、上腕部を必死に擦る。背を丸めているせいか、肩の青い渦巻きも今は弱弱しく見える。 「…で、どうしたらいい?」  絢斗の目線の先は、黒いビキニの中心。寒さで縮こまっているとはいえ、小さな布は形をくっきり浮かび上がらせている。 「さ…触らせて…」  目線から、どこを触らせてほしいのかはわかる。哲司が唾をごくりと飲んだ。 「正気か? お前、男に触られて嫌な思いしたばっかりやろ」 「正気やで。嫌いなやつに触られたから、好きなてっちゃん触って癒されたいねん」  どう諭そうが絢斗は聞かないだろう。観念して、哲司はベッドの上で大の字に寝転ぶ。 「好きにせい! 逃げも隠れもせん!」  腹を決めた言葉に、今度は絢斗が音を立てて唾を飲みこむ。ゆっくり手を伸ばし、股間の膨らみに触れてみた。 「あったかい…」  袋の部分を下から撫で上げ、柔らかいサオを指でなぞる。その先は皮に覆われていない、むき出しになっている亀頭だ。仮性包茎の絢斗にとっては羨ましい。  何度も指を往復させ、その形を手に覚えこませるように握ったり撫でたりを繰り返す。 「うっ…」  しばらく触れているうちに、哲司の口から声が漏れた。絢斗の手の中でも変化があった。ムクッ、と膨らむ感触がある。男の生理として仕方がない。いじられるうちに、哲司は勃起してきた。  大きくそそり立つ哲司は、どんな感じなのだろう。細いビキニをずり下ろし、勃ちかけているペニスをあらわにした。カリの辺りが黒ずんでいるが、亀頭はきれいな赤みのある色だ。  哲司は手で目元を覆い隠している。男に、しかも年下の高校生に触られて感じてしまっているという恥ずかしさで、絢斗の顔を見られない。  絢斗は斜め下をを向いているペニスを握り、ギアを入れるみたいに上に向けた。思い切りハイスピードでサオを擦る。 「うわ…、や、やめてくれ」  自分の意思に反し、どんどん硬く大きくなる。もうやめてほしい、そう思っていた哲司だが、完全に勃起するころには、早く射精してしまいたいという気持ちに変わる。 「てっちゃん…」 「なんや」 「口でしていい?」  哲司は驚いて体を起こした。 「ア…アホ言うな! お前、危ない道に足突っこんどるぞ!」  哲司の忠告も聞かず、絢斗は股間に顔をうずめた。大きくそそり勃つペニスを飲みこむ。頑張っても根元までは入らないが、舌を使って丁寧に舐める。濃い陰毛の先が鼻先をかすめ、少しくすぐったい。  かつて大誠にフェラチオをされた絢斗だが、自分がするのは初めてだ。技も何もなく、たどたどしい。それでも久しぶりの快感のためか、哲司が射精するまでそう時間はかからなかった。

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