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第46話

 ゆっくりとほぐして準備ができたところで、絢斗はコンドームの袋を破ろうとするが、ローションのぬめりでうまく破れない。四つん這いの哲司が「貸せ」と手を伸ばしてきたので、それに託すことにした。  口にくわえた状態で袋を引っ張り開封し、「つけ方わかるか?」と絢斗に確認すると、絢斗は首を横に降った。初めてなので、なんとなくペニスに被せるというのはわかるけど、その薄さから破いてしまいそうな気がした。哲司はコンドームの先端を軽く歯で挟み、膝立ちの絢斗の亀頭に被せると、そのままフェラチオしながらスルスルっと器用に装着した。 「エロい被せ方やん知ってるやん」  と絢斗が棘を含む言い方で関心する。 「昔、ふうぞ…いや、何でもない」  と哲司は滑らしそうになった口をもごもごさせ、また四つん這いになった。コンドームの上からもローションをかけ、まんべんなく行き渡らせてから、絢斗は菊門に先端を当てた。ぬるっと先端が飲まれていく――ような気がしたが、カリ部分は太いため、なかなか先に進んでくれない。その間にも哲司は苦しいのか気持ちいいのかわからない声を出すため、強引に進めることもできない。だが、この先端で前立腺を愛撫してやりたい、その一心で絢斗はゆっくり腰を進めた。ローションのぬめりを借りて、なんとか亀頭部分はすっぽり収まった。薄いゴム越しに、熱い体温を感じる。ひとつになれた。今、哲司と体がひとつに繋がっている。 「いくよ、てっちゃん」  一声かけて絢斗は出し入れを繰り返した。ぬるっと出てきた先端を、もう一度挿入させる、それを何度も繰り返す。カリ部分が菊門に引っかかる感触を繰り返し味わう。哲司の中。誰にも触らせていない、秘門の奥。マスターベーションでは得られない感覚に夢中になるうちに、亀頭はもっと奥深くに入るようになっていった。 「んんっ…」  玉のような汗を吹き出すえべっさん。後ろから何度も腰を突き出しながら、絢斗はえべっさんを蹂躙しているみたいな罰当たりの感覚に陥ってしまう。  急に、哲司の尻の肉がギュッと引き締まる。肛門に力を入れたのだ。 「てっちゃん…! きつい、動かれへんっ」  カリ首が出てこなくなった。無意識のうちに尻に力が入ったのだろう。絢斗は後ろから手を伸ばし、哲司の亀頭部分を優しく撫でる。そうすればリラックスして力を緩めてくれるだろうと思ったのだ。ローションでぬめりのある指は、鈴口やクビレをいやらしく撫でる。大きく息を吐いた哲司は、喉の奥から絞り出すようなあえぎ声を漏らす。少しアヌスが緩んだので、絢斗はまた腰の動きを再開させた。ゆっくりとした腰の動きを続けながら、哲司のサオをゆっくり擦った。  時々亀頭が前立腺を刺激するので、そのたび哲司は体を反らせる。えべっさんが艶めかしく動くさまを見て、絢斗は我慢できなくなる。 「てっちゃん、気持ちいい…熱くてチンチン溶けそう…」  溶けてしまいたい。このままいっしょに。やっとひとつになれた愛しい人といっしょに。そんな精神的に満たされた至上の愛、という天国のような幸せと同時に、絢斗は別のドラッグにも似た危険な快楽にも目覚めた。今まで兄のように慕っていた憧れの人が、四つん這いで枕にしがみついている。体内に男根を埋めこまれて――  いやらしいことをしているという背徳感にゾクゾクする。もっと味わって、そのたびにもっといやらしい遊びをして、快楽の地獄に堕ちてみたい。そんなトランス状態に陥りそうだ。   「そんなにええか…絢斗…。なら…、お…俺の中でいけ――」  ごつごつした手が絢斗の手をつかむ。そのまま強くしごき始めた。摩擦で皮がむけないかと心配になるほどに。この速さは、もうフィニッシュが近いことを物語っている。絢斗自身もマスターベーションのとき、射精前はハイスピードになるからわかる。 「くっ……!」  荒い息遣い、ジュポジュポと鳴る結合部分。互いの名を呼ぶ声。汗の匂い、互いの体温。いろいろなエロスがミックスされて、二人をオーガズムに導く。 「てっちゃん、イクよ、てっちゃんの中でイクよ」  ドクン、と哲司の中でペニスが動く感触がした。それと同時に、哲司もシーツに叩きつけるようにビュッと勢いよく果てた。  最後の一滴が垂れた後、二人は重なるようにベッドに倒れこんだ。鼓動に鼓動が重なる。汗ばんだ肌すら気持ちいい。しばらく無言でそのまま突っ伏していた。絢斗はえべっさんの烏帽子あたりに頬をぴったりとつける。激しい呼吸で上下する両肩を、絢斗はギュッと握りしめた。波打つように、大きく上下する荒波の入れ墨を――

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