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新しい日常 9
滞りなく朝礼が終わり、それぞれの持ち場へ向かう職員達の中から旭を探しだした俺は、昨晩の陽のことを話した。
「多分、フラッシュバックか何かがあったんだと思う。痛い、痛いって繰り返して、自傷行為もあった。陽は、ストレス商法の店から保護した子だったよな」
「はい。前にもその時のことを思い出して痛い、と繰り返すことがあったので、昨日のパニックもそれかと思います」
「だよな。……うん。ずっと旭のこと呼んでたから、今日はずっと一緒にいたほうが良いと思う。昨日のことは覚えてないみたいだけど」
「わかりました。お知らせ頂きありがとうございます。それにしても、冴島先生、目の下の隈が酷いですよ。今日は早退したほうが良いと思います」
「春広にも言われた。そんなにか?」
「そんなにです」
即答され、思わず目元をぺたぺたと触ってしまう。が、触ったところでわからない。
「冴島」
後ろから声をかけられ振り向くと、施設長がちょいちょいと手招きした。旭は軽く会釈をして職員室を出て行く。残ったのは俺と施設長だけだった。
「昨日は一晩陽のことを見てたんだろ。今日の仕事は良いから、もう帰れ」
「ですが、仕事はたくさん残ってますし……」
「幸月の件から気が休まってないだろ。あれ以来、調子悪そうだぞ。だから、今日一日しっかり休め。お前の仕事は、今すぐ帰って休むことだ」
施設長はそれだけ言うと、さっさと職員室を出て行ってしまった。このまま残っていたら怒られそうな雰囲気に、俺は仕方なく荷物を持って施設を出た。
家に帰っても気なんて休まらないと思ったが、気持ちに反して身体は素直だった。ベッドにもぐりこむと5分も経たずに眠りについて、起きたときには既に15時過ぎ。適当に腹を満たしてテレビを見たりぼーっとしたりしているうちに夜になり、風呂に入るとまた眠気に誘われた。昼間寝ても夜眠れなくなることはなく、俺はまたぐっすりと眠ってしまった。
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