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得意創作 7

 翌日朝、ひなどり棟に入ると、事務員の女性に困り顔で挨拶された。 「おはようございます。幸月君ですけど、今朝は違う職員が朝食を持っていったのでぐずってしまって……。今は落ち着いてますが、報告です」 「すみません。対応ありがとうございます」  軽く会釈してから部屋を目指す。幸月の癇癪に対応するのは大変だったろうに、宥めてくれてありがたい。 「幸月ー? 朝は来れなくてごめんなー」  部屋のドアを開けると同時に、こちらを振り向いた幸月が猪のごとく突進してきた。あまりの勢いに足を踏ん張る。  ぐずるのは悩みだが、こうして力がついてきたのは喜ばしいことだ。  頭を撫でてから、同じ目線になるようにしゃがむ。  そのまま抱きしめて背中を撫でると、体から力が抜けてきた。体を離し目を合わせると、その目は真っ赤だ。ついさっきまで泣いていたことがすぐわかる。 「ふふ、目がうさぎさんだぞ」  そう言ってほっぺをツンツンと触ると、幸月はもう一度顔をこちらに押し付けてきた。まるで、見られるのが恥ずかしいとでもいうように。  しばらく抱き合った後、俺は幸月の目を見て今日の予定を伝えた。 「今日は、お外に行こう」 「……?」  外、という聞き慣れない言葉に、幸月は首を傾げた。

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