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得意創作 11

 日向で作業を続けるのはあまり良くないので、それ以降は木陰に移動して幸月の得意創作を眺めた。  幸月は手を止めることなくいろいろなものを作っていった。その多くは花冠だ。幸月の周りには、綺麗な花の輪っかが所狭しと並べられて、そのままお店屋さんごっこでも出来そうな勢いだった。  俺は木に背中を預けて、木々の葉の間から見える空を眺めた。  ここ数日の肩の荷が一気に下りたように感じる。  幸月の得意創作が見つかったのは大きな進歩だ。それだけで、今後の他の児童との交流にも期待が持てる。  これから幸月はどんなふうに成長するのか、どんな姿を見せてくれるのか。秋の足音のような風に吹かれながら、俺は未来に思いを馳せていた。  久しぶりにやってきた穏やかな時間は次第に眠気を誘い、気がつけば俺の頭は船を漕いでいた。  いけない、と思い目を覚まし、隣にちゃんと幸月がいるかを確認する。  すると、幸月もまた手に制作途中の花冠を持って眠っていた。木漏れ日の中すやすや眠る幸月は気持ち良さそうで、このまま寝かせてやりたかったが、時刻は既に正午過ぎ。お昼ご飯の時間だ。流石に部屋に戻らなくては。    俺は幸月の作った作品をまとめて、眠ったままの幸月を抱いて立ち上がった。その振動に、ぴくりと幸月の瞼が動いて持ち上がる。 「おはよう。お昼だから、もう戻るぞ」  「戻る」という言葉に反応してか、幸月はぱちっと目を覚まして、俺の腕の中でもぞもぞ動いた。せめてもの抵抗のようだった。  俺が歩き始め施設の中に入ると、観念したように大人しくなったが、視線はまだ外への扉へと向けられていた。  部屋に入る直前、くいっと服を引っ張られる。幸月のまんまるい瞳がこちらを見上げていた。 「あ、した……そと……」  本日何度目かわからない衝撃を受ける。しかし、その後に胸にやってくるのはやはり嬉しさだった。 「明日も行こうな」 幸月の頭をくしゃりと撫でてやってから、部屋に入った。

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