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15歳の少年 5
コンビニで買ってきた弁当を食べ終え、時刻は19時前。いつもなら宿直用の部屋に行くところだが、なんだか秀人が心配で、俺は隣の病室に入った。
電気のついていない部屋は薄暗い。
俺は秀人のベッドに近寄り、付属のライトを付けた。彼の顔がはっきり見えるようになる。もう熱は無い。彼の表情はすっきりしている。あとは起きるだけだ。
「秀人、あんまり寝坊助だと俺も怒るぞー」
組んだ足に頬杖をつきながら、テキトーなことを言ってみる。当たり前だが彼は目覚めない。俺の寒い独り言が虚しく部屋に響いただけだ。
「……このビビりー。早く起きろー」
秀人の性格的にカチンときそうなことを言えば起きるかななんて思ったが、起きない。
眠りこける秀人を前にできることなんて、彼の顔をじーっと見つめるくらいだ。だからといって、今日はここから離れたくなかった。
早く、早く彼に会いたいのだ。
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