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この体には本来必要など無いはずの小さな粒がねろりと温かい粘膜に包まれた。
その粘膜の内側で、生き物のように自在に動く舌がツンツンと中心をつつく。
初めこそ遠慮がちだったものの、そこが思った反応を示さなかったからだろうか。
ただつつくだけだった舌先には徐々に力が加えられていった。
掘り起こすように抉られ、その突起が潰され、そして育てるかのように撫でられる。
最初こそ慣れない感触が悪寒のようにゾワゾワと背中を走るだけだったのに、いつまでも繰り返されているうちに悪寒は痺れに変わった。
舌が触れるたびに胸の先がビリビリする。
「こしょばいだけじゃなかろ?」
知らず亮治の腕を掴んでいた俺に見せつけるように、舌だけを伸ばしてそこを強く捏ねる。
擽ったいだけなのはわかっても、それがどういう感覚なのかわからず、俺はただ駄々っ子のようにイヤイヤするだけだ。
「たかちゃん、ここ、こうされるの嫌い?」
亮治が上に乗り上げていた体を横にずらし、相変わらず胸に吸い付き舐めながら俺の頬をそっと撫でてくれた。
もう片方の手は、プルプルと震える中心の隆起を柔く握る。
俺は目を閉じ、頬を撫でる手にスリスリと顔を寄せた。
「さっき言うたじゃろ? 嫌なら嫌って言う、気持ちええんなら気持ちええって言おうって。俺には嫌そうに見えんけ、言うてくれんにゃいつまででもここ舐めるよ?」
その顔は欲を隠そうともしないけれど、亮治の言葉は優しく温かい。
思うまま好きにしても構わないのに、二人で一緒に気持ちよくなりたいという思いが伝わってくる。
素直に感じてるそのままを言ってほしいという、亮治の真っ直ぐなその言葉が嬉しくて、何より安心する。
俺は亮治の頭をキュッと胸元に抱き込んだ。
「気持ちええんかどうかは...ようわからん」
「うん」
「でも...なんかこしょばいだけじゃなくなってきとるような...気はする」
「ほうか。ほしたらどうしたらええ? たかちゃんはどうして欲しい?」
「......もうちょっと強く...吸うてみて...欲しいかも」
亮治は何も言わず、改めて乳首に吸い付いてきた。
俺の希望通りジュジュッと品の無い音が鳴るほど強く吸い、再び舌全体でそこを包み込む。
頬を撫でていた手がソロリと動き、その指は唇をなぞり始めた。
なぜそんな風に思ったのかはわからない。
けれど唇に触れられているだけでは物足りず、俺は舌を伸ばしてその指先を舐めた。
導くようにそれに舌を絡めれば、節くれた長い指が口内へと滑り込んでくる。
俺はその指に夢中になって吸い付いた。
亮治の熱をこんな風にしたかったという思いがどこかにあったのかもしれない。
チューッと強く吸い、その先端をカリッと奥歯で噛んでみた。
真似するように亮治も俺の胸の尖りをかりと噛んだ。
その途端、ピリピリ程度だった痺れが一気にズンと腰まで走る。
.......今のは...なんだ?
亮治の手の中に収まっている自身が大きく脈を打ったのがわかる。
試しにもう一度指先をチロチロと舐め、そこに歯を立てた。
亮治もまた尖りをグッと噛む。
今度はさっきよりもはるかに強い痺れが走った。
思わず腰を揺らす。
「あっ...亮治、ダメじゃ...噛むな...もう噛んだらいけん......」
「なんで? たかちゃん、こうされるん気持ちええんじゃろ? 自分でも気がついたんじゃないん?」
「気持ちええけ...ダメじゃ...出しとうなる」
『な?』と少し首を傾げてかわいこぶってみた俺に返されたのは、最高に悪くてイヤらしくてカッコいい笑顔だった。
そのままちぎれそうなほどの力で吸い上げられ、ガジガジと歯を立てられる。
合わせるように中心を扱く手を早くされれば、俺はただ広い背中に手を回して頭を振るだけだった。
ガクガクと突き上げるように動く腰が止められない。
「亮治、出る...出るけやめて...ほんまに......」
「ええじゃん、たかちゃんの気持ちええ顔見せて? この後そんな顔させてあげられるかわからんし...それに、俺のイク顔だけ見て自分のは見せんとか、インチキじゃろ?」
胸への刺激が無くなる。
少し物足りなくなり、ふと目を開ける。
亮治がじっと俺を見ていた。
「たかちゃんのエエ顔、俺だけに見せて?」
亮治だけに...そう言われた瞬間、頭の中が真っ白になる。
強く早く扱き続ける亮治の手に、俺の手も重ねた。
そのまま二人の手で、自分を追い上げていく。
「見とって...亮治だけじゃけ...俺の全部見とって」
俺を見つめている亮治を、俺も見ていたい......
欲を溢れさせる瞬間まで俺は閉じそうになる瞼を必死で開き、亮治から一瞬も目を離さなかった。
そして亮治も嬉しそうに少し細めたまま、俺から一瞬も目を離さなかった。
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