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目を閉じたまま、何度か意識的に大きな呼吸を繰り返す。
違和感、異物感はあるものの、やはりそれほど苦になるほどではなさそうだ、
俺は目を開き、うっかり爪を立ててしまった亮治の脹ら脛をそっと撫でる。
「うん、大丈夫そうで。痛かったら言うけ、このまま続けて」
その言葉に背中を押されたか、一度傍らのタオルで滴る汗を拭うと、亮治は少しだけ背中を丸めた。
嚢の裏側に手のひらを押し付けながら、ゆるりと細かく指を動かす。
存在を慣らそうとしているのか内側を柔く撫で、入り口をグルリと回すように開いていく。
手のひらの当たる場所のせいか、それとも初めて直に粘膜に触れられたせいなのか、さっきも感じた未知の感覚にブルッと腰が震えた。
浅く深く指先が中の襞を押し込まれるたびにその感覚は強くなる。
止めようにも止められないその小さな痙攣のような動きを亮治が気付かないわけはなかった。
「痛い? 辛い? ええ感じに柔こうなってきたと思うんじゃけど......」
「痛うないよ...辛いんでもないんじゃけど...なんかようわからん」
「わからん?」
話をしながらも亮治の指は止まらない。
俺はまた目を閉じ、その指の感触を一瞬たりとも逃すまいと神経を尖らせていた。
「なんかさっきから...ケツの中がジンジンするんよ......」
「痛いんじゃなく?」
「はぁ...ん...痛いんじゃ...ないよ、たぶん...」
口を開くたびに、言葉に吐息が混じる。
腰に広がった痺れはゆっくりと上半身にまで伝わってきているのか、頭の中まで逆上せたようにぼんやりとしてきた。
それでも亮治に触れられている場所だけはやけにクリアな感覚が残っていて、小さな動きもすべてを拾い上げる。
「亮治の動き...意識しよったら...なんかジンジンしたのがあっちこっちに...広がってきて...んっ...ぁっ...変な...感じ......」
ぼんやりとしたようなうっとりと何かに浸っているような気分で精一杯それを伝えると、突然亮治が中の指をスルリと抜いた。
不意に空洞になった場所が心細くて、思わず目を開けて体を起こしそうになる。
「そのままね。たかちゃん、そのまま」
指に再度ローションをたっぷりと纏わせながら亮治がニコリと笑った。
このまま止めてしまおうとしてるわけではないのがわかり、一先ずは体の力を抜く。
すぐにヌルヌルとローションを擦りつけながら指は中へと戻ってきた。
今度はさっきまでとは違い、入り口に近い辺りで大きくその指をグルグルと回している。
「たかちゃん、たぶん少しは感じてくれとるんじゃと思うよ」
「そう...なん?」
「なんかね、たかちゃんがハァハァ言い出してから中の温度が熱うなったような気がするし、何より俺の指食いちぎろうとするみたいにグーッて奥に引きずり込まれそうになるもん」
「そんなん、しとらん......」
「無意識じゃろ。意識しとらん動きじゃけ、気持ちようになってきたんかなぁと思うたんよ」
中心にかかる力が少しだけ強くなる。
それに異を唱える事も抵抗する間もなくそこが大きく開かれた。
「力入れんようにね。2本目入れよるけん」
え?と思った瞬間には、さっきよりも強い圧迫感に唇を噛んでいた。
1本目を入れる時と比べて随分性急な動きに、ハフハフと懸命に息を吸う。
「ご、ごめん...だいぶ弛うなってきとったけ、もう大丈夫かと...とりあえずゆっくり呼吸整えようか...ね?」
まだ中ほどだろうか。
俺が体を強張らせた瞬間亮治は動きを止めた。
今にも受け入れた穴の一部がちぎれてしまうんじゃないかと思えるほどに引きつれて怖い。
「切れ...とらん?」
「うん、大丈夫。切れそうなくらい痛い?」
「......こんなんで切れたら...亮治とエッチができん...」
俺は痛くてもいいのだ。
苦しくても我慢できる。
けれど切れて流血でもすれば、亮治はそこでやめてしまうだろう。
今は痛いのよりも苦しいのよりも...それが一番怖い。
そのせいで二度と俺に触れたくないと思われるのが怖い。
「切れとらんし、まだやめんよ。たかちゃんがほんまにどうしてもここに俺のは入れられんって思わん限りやめん。ほじゃけ落ち着いて。ちょっと気持ち悪いかもしれんけど、中に直接ローション足すね。その方が楽になると思うし」
ググッと穴が広げられ、ボトルから直接中にローションが流し入れられる。
もうそれ以上は入らないと、溢れた分が尻の割れ目を伝っていった。
「俺の入れようと思うたら、指なら3本入るぐらいまでは頑張らにゃいけんと思うんよ。我慢できそう?」
「我慢...する。我慢するけ...亮治、早よ3本目入れて」
「まずは今の状態で慣れてからね。さっきみたいにジンジンしてくるまで、もうちょっと待って」
俺の表情を確認するようにしっかりと見つめながら、2本の指をゆっくりと押し込んでくる。
限界まで流し込まれていたローションは更に押し出され、ブチュッコポッとやけに生々しい音と共に溢れた。
「どう? さっきよりは楽そうに見えるんじゃけど...まだ怖い?」
亮治の言葉に首を横に振る。
体の強張りがほぐれだしたからか、それほどどこかを無理矢理引っ張られるような感覚も恐怖心も薄れていた。
次第に異物感も気にならなくなってくる。
「ほしたら3本目の指入れる為にも、もうちょっと頑張ろうね。ネットで見たまんまの知識じゃけ、ほんまに上手いこといくんかはわからんけど」
亮治の左手が性器を微かにスルリと掠め、薄い下生えが覆う臍の下辺りを手のひらで優しく撫でた。
「たかちゃん、体の力抜いて...ここに集中してみようか」
ここだと示すように指先が時折強めに一点を押す。
「力抜いて...息は止めないでね...ゆっくりリラックス......」
亮治の声に合わせて呼吸を整える。
その呼吸に合わせるように下腹への圧力がかかり、その圧力に合わせて自分でもそこに意識を持っていく。
それは不思議な感覚だった。
一点を除き全身の力が抜け、フッと体ごと軽くなったような錯覚。
これが亮治を受け入れる為のタイミングなのだとぼんやり理解する。
それを逃す事なく、半端な場所でその瞬間を待っていた指は、今度は俺の体を驚かせまいとゆっくり慎重に奥へと潜り込んでいった。
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