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第18話 ★ 僕のバース★ ミコトside中学部進学

俺と同じ列に並んで座っている理玖の後ろ姿を見ながら、中学進学で理玖の周囲が騒がしくなるんじゃないかと密かに心配していた。中学に入って1ヶ月の間のオリエンテーション中にバース判定もある。この判定結果で、クラス分けも行われる。 この私立英明大学附属中学部は小学部も有る名門学園のせいか、他の中学よりαもΩも多い。一番多いのがベーターなのは変わらないけど。2:7.5:0.5の割合が一般的なら、この学園は3:6:1ぐらいだ。 名門の家にありがちなα同士の親も多いし、反対に普通よりαとΩの番の親も多い気がする。理玖の親がそうだ。その中には運命の番もいるんだろうか。運命の番なんてちょっと都市伝説っぽいけどな。 俺の親は二人ともαだ。姉二人もαだから、ある意味エリート一家なんだろう。確かに父は由緒ある興福寺の住職だし。でもαだけの家族にありがちな殺伐とした家族関係はその通りだ。 だからなのか、小学部で腐れ縁で付き合ってきた理玖みたいな、ほんわかした奴を手元に置いておきたくなるのかもしれない。 もう一人の腐れ縁の悠太郎は俺と同じα同士の親の子供で、αの兄と姉がいるらしい。あいつは余計なことを言わないからイマイチ情報が無い。多分俺も悠太郎もαの判定が出そうだ。 悠太郎は幼稚園の頃から理玖に可哀想なくらいゾッコンで、友人の俺としたら二人がくっつけばいいなと思うけど…。肝心の理玖は、4つ年上の理玖の兄貴の友人あっくんが大好きみたいで。みんなで片想いなのか?不毛だ。 理玖は…きっとバース判定でΩ判定されるんじゃないかって俺たちは思ってる。あんな可愛いαがいてたまるか。でもΩだと、ちょっと付き合い方が変わりそうで、俺は無邪気な小学部生活をきっと懐かしく感じるんだろうなと思いながら、理玖の柔らかそうな後ろ髪を眺めていたんだ。 説明会が終わると、ザワザワ席を立ちはじめた生徒たちの中、理玖はクルッと俺の方を振り返った。そしてニコっと笑うと、いそいそと近づいてきた。周囲の生徒が理玖を見てコソコソ話してるのは相変わらずだ。 呆然と見惚れてる生徒は、きっと受験で中学部から入ってきた奴らだろう。気の強そうな俺の姉達を思わせる女子生徒も理玖を見てるのが、小学校と違うところかもしれない。 そっか、もし理玖がΩだったらαの女子からも狙われるのか。俺はまた問題が増えたなと眉を顰めて、満面の笑みの理玖を待った。

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