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第30話 デートはウキウキ
結局僕がΩ判定を受けてから、あっくんは父さんからお付き合いの10ヶ条なるものを渡されたみたい。というのは、僕にそれを見せてくれないからだ。僕はまだ色々勉強不足なので、刺激が強すぎるらしい。
10ヶ条を見せてもらった涼兄曰く、『篤哉、マジ可哀想w』らしい。10ヶ条自体は実は大学3年生の彗兄が今時の若者の実情に合ったものを考えてくれたみたいなんだ。でも彗兄は僕の事を凄い幼いと思ってるから、どうしても必要以上に厳しくなったんじゃないかって涼兄が言ってた。
だから僕は少しでも家族の前で大人っぽく振る舞って、あっくんの10ヶ条を緩めてあげたいな。僕もあっくんと、もっとイチャイチャしたいしね。ふふ。
今日は学校が半日だから、あっくんとデートなんだ。しかも今日は久しぶりにあっくんのお家に遊びに行くんだ。最近僕は背も急に伸びて、入学時に155cmだったのが、169cmになった。多分もっと伸びるよ。まだ身体が成長痛だし。
でもΩはヒートが来ると成長が止まるらしいから、あんまりエッチなことしない方がいいよってΩの先輩が言ってた。やっぱりエッチな事しちゃうと、ヒートが誘発されちゃうのかな。でも最近僕、ほんとヤバいんだ。この事誰かに相談した方がいい気がするんだけど…。誰に⁉︎って感じだよね。
多分母さんに聞くのが一番かもしれないけど…、とても無理。親には聞けないよー。そう、最近ヤバいってのが僕の悩み。Ωのテキストには、そこまで詳しくは載ってないし。今日あっくんに聞いてみようかな?
「お邪魔しまーす。」
僕は久しぶりにあっくんの家へ遊びに来た。お手伝いさんはいるけど、お家が大きいので、あまり顔を合わせることがないんだ。あっくんのおうちは東グループの大きな会社を経営していて、僕の家の三好建設とも一緒に仕事してるみたい。
だから、あっくんが僕と”約束“したいってご両親に相談した時も特に反対もなかったらしい。普通アルファだけの家って、Ωの事ちょっと嫌がるって聞いてたんだけど。昔から僕たちのこと知ってたから、そうなるだろうって思ってたんだって。どんだけ僕たちって小さい頃からくっついてたんだろうね。ふふ。
「あっくんの家って、相変わらずひと気が無いね?お手伝いさんも居ないみたい。」
あっくんはバツが悪そうに額を指で掻いて、僕を見下ろして言った。
「あー、理玖が遊びに来るって言ったら、何かみんなして用があるから出かけて来ますって…。だから今、誰も居ないんだ、この家。」
僕は急にドキドキして、そうなんだってモゴモゴしてしまった。
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