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第45話 篤哉sideモヤモヤした気持ちで
俺はモヤモヤした気持ちのまま、理玖とデートだ。今日は理玖の学校まで迎えに来て、車でご飯食べに行ってから、俺の家でデート。今日は金曜日だから、門限は10時30分。タイムスケジュールはバッチリだ。
こんなにウキウキ鉄板のデートなのに、先日の衝撃的な話が解決してないせいでモヤモヤしてる。くそ。しかし何とかしないと。そう思いながら中学部の正門で待っていると、理玖が数人の生徒たちとこっちにやって来た。
顔馴染みの悠太郎と尊。あとは…、生徒会のメンバーか?もしかしてあいつが入学時に理玖のこと副リーダーに指名したっていう吉良って奴か?確か副会長だったはずだ。どうも理玖の周囲でうろつく奴だ。
もう一人は理玖の話によく出てくる仲良しのβか。ベーターの割にちょっとαっぽい雰囲気のある男だな。
俺は観察を終えて、5人を待った。実は悠太郎と尊には昨日の夜サークルチャットで、かいつまんで事情は話した。理玖を恨んでる様な奴に心当たりが無いか調べてもらっているんだ。
「あっくん!待たせちゃった?」
俺の広げた腕の中に飛びついてくる理玖、めちゃ可愛。俺は中坊の前だから、大人らしい余裕を出して理玖をぎゅっと抱きしめるとおでこにチューするくらいで勘弁してやった。
「全然?理玖の学校、俺も通ったから懐かしいなって思ってたとこ。よう。お前たちも元気そうだな。」
悠太郎と尊とは昨夜話したばかりだけど、素知らぬフリだ。二人ともちょっと顔が強張ってるぞ。もっと知らんぷりしないと。俺は吉良と新顔に目をやって、理玖に尋ねた。
「理玖、紹介してくれよ。生徒会のメンバーなんだろう?」
理玖は俺と手を繋いだまま、あぁ、かわゆい、俺を仰ぎ見て二人を紹介してくれた。
「こちらが吉良好輝くん。副会長なの。野球部のエースだったんだよ?凄いでしょ。そして、こちらが佐々木千隼くん。書記さん。何でもソツがなくって僕のお手本みたいな人。最近仲良くしてもらってるの。」
俺は二人をじっと見つめた。吉良は俺を真っ直ぐ見返して来た。なかなか肝が据わってる。
佐々木は、俺のちょっと強めのαのオーラにも動じないでやっぱり見つめ返して来た。βのわりに怯まないなんて珍しい。でも、何かこいつ慣れてる?αのオーラに慣れてるってどうゆうことだろう。
「篤哉さん、いきなり威嚇のオーラ出すのやめてくださいよ。ビビるでしょ。」
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