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第46話篤哉side車中での忍耐は

 俺の飛ばした威嚇のオーラに、呆れた尊が俺に文句を言って来た。 「悪い。いや、理玖の側にいる人間は誰だろうが俺のチェックを受けてもらわないと心配だから。いや、二人とも悪かったな。じゃあ、俺たち先に帰るから。」  理玖と二人になって、停めてある駐車場まで一緒に歩いていきながら、理玖は俺をチラッと見上げて言った。 「ねぇ、あっくん。何かあったの?あっくんいつもよりピリピリしてるって言うか。さっきも吉良君たちに何かしたでしょ?あんなこと、あっくんがするの珍しいから。」  繋いだ理玖の手が神経質に動いてる気がして、俺は参ったなと頭を掻いて言った。 「ちょっと理玖が心配になっただけ。たまに周期的に心配になるんだ。どうしても理玖の側にいつもいられないだろう?ごめん。返って不安にさせちゃったか。」  理玖はクスクス笑って、俺の腕にしがみついて言った。 「ふふふ。ううん、大丈夫。あっくんが僕のこと大好きって感じがするから、ちょっと嬉しいだけ。」  はぁ、マジで可愛い。俺はもう我慢できなくて、理玖の手を引っ張って足早に目の前の車に押し込むと助手席で目を白黒させてる理玖に顔を寄せて言った。 「…理玖。可愛すぎ。キスしたい。」  理玖はへにゃって笑って、目を閉じた。俺は理玖の赤い苺のような唇にゆっくりと唇を合わせた。でも直ぐに物足りなくなって、甘くて柔らかい理玖を味わった。最近は理玖も大人顔負けのキスをしてくるから、俺はブレーキをかけるのが難しくなっている。  俺が調子に乗って馬鹿みたいに貪ってると、理玖が俺の肩を叩いた。 「…あ、あっくん。僕、こんなところで濡れちゃったら困る…。」  そう言って、真っ赤な顔で俺を見上げる理玖に俺はすっかり煽られて、ああ、もう食事なんてやめようとか、さっさと部屋に連れ込もうとかそんな事ばかり考えているんだ。  でも昨日の電話で、今日のドライブデート楽しみにしてた理玖を思い出して、俺は鋼の意志を呼び起こして、もう一度唇にチュってすると、体を起こして理玖にシートベルトをつけた。ああ、理玖の股間が膨らんでるのは見なかったことにしないと、マジで家にさらって行きそうだ。  俺がエンジンボタンを押そうとした時、理玖は窓の方を見ながら言った。 「…ねぇ、あっくん。僕、今からあっくんのお部屋に行きたい。」

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