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第47話 あっくんは心配性

 あっくんが学校まで迎えにくるのは珍しかった。しかも車で。でも、大学生になったあっくんはいつの間にか免許も取ってたし、カッコいい車も手に入れてた。  だから今日のドライブデートはすごく楽しみだったんだ。電車の移動も一緒なら楽しいけれど、車の移動は密室だから二人だけって感じで、ドキドキするし、嬉しい。  あっくんが迎えにくるって生徒会の作業中に言ったら、久しぶりだから挨拶したいって尊が言い出した。尊がそんな常識的なことを言い出すのは珍しい。悠太郎ならわかるけど。  そしたら、悠太郎があっくんがきっと、僕と一緒の生徒会メンバーのこと知りたいだろうから、今日はみんなで挨拶がてら理玖を送ってやろうとか言い出した。  何それ。って思ってたのは僕だけだったみたいで、皆んなはさっさと正門までついて来た。中学部だけでなく、隣接した高等部の在校生にまでキャー、キャー言われながら正門で僕を待ってたあっくんは、僕たちを見ると嬉しそうに顔を輝かせた。はぁ、カッコいい。  あっくんは本当カッコいいんだ。身長は僕が今170cmなのに、多分190cm近くあって。身体のサイズもひと回り以上大きい。今日みたいなコットンジャケットにTシャツみたいなシンプルな格好が超絶似合うんだ。  最近は僕があっくんの長い髪が好きだって言ったせいなのか、髪を伸ばしてるみたいで、耳より長いサラサラヘア。前髪も長いから、時々縛ったりしてる。節張った大きな手で髪をかき上げるのが芸能人ばりにカッコいい。  それで切長の目でじっと見つめられたら僕どうにかなっちゃうよ。涼兄はあっくんが他人に愛想がないって言うけど、僕の前のあっくんはいつも優しく笑ってるから、何で涼兄がそんな事言うのか分かんない。  でも、その涼兄の言う事が少し分かった気がした。初めましての吉良君と佐々木くんに、あっくんは怖い顔で見つめた。尊が威嚇のオーラとか、何とか言ってたから、あっくんが何かしたのは本当らしい。  みんなと別れてから、車までの間に僕に不安にさせたかって聞いて来たけど、僕はあっくんの心配は嬉しいだけだし。凄い勢いであっくんの車に放り込まれてキスされたら、もう、僕…。  あっくんも深呼吸して興奮を落ち着かせてたけど、僕は車中に漂うあっくんの良い匂いに身体がズキズキと疼いて、思わず部屋に連れて行ってってねだってしまった。ああ、あっくんどう思ったかな?

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