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第60話 告白
あっくんに真剣に自分の気持ちを伝えるのは、僕、よく考えたら初めてかもしれない。僕は急に恥ずかしさに襲われたけれど、目の前のあっくんが真剣な眼差しで僕の言葉を待っているのが分かった。
「…僕が物心ついた時には、いつもあっくんが側にいたよね?僕はあっくんに抱っこされるのが凄く好きだった。涼兄よりも、あっくんに抱っこして甘えたかった。
でも段々その嬉しい気持ちが、ドキドキするようになった。あっくんが僕のこと好きなのか、そうじゃないのかがとっても気になる様になったんだ。あっくんはいつも優しかったけど、低学年の僕と距離を取る様になったでしょ?
僕はそれが悲しくて、僕がアルファっぽくないから好きじゃなくなったんだって、考えれば考えるほどそれが正しく思えて、ベッドで何度も泣いちゃった。
実際僕とあっくんは歳の差があって、どんなに僕が頑張って大きくなっても、あっくんは僕を置き去りにどんどん大人になっちゃった。僕は沢山一人で考えた。
僕には悠太郎や尊みたいな幼馴染がいたでしょ?あっくんもある意味幼馴染だよね。でもあっくんを好きなこの苦しい気持ちは、悠太郎達には全然感じなかったんだ。
だから僕はあっくんとあの校庭のフェンス越しで話した時に、あっくんに感じるこの好きって気持ちは他の誰とも違うって分かったんだ。
僕は多分一度あっくんを諦めたんだよ。僕とあっくんには大きな差があって、僕にそれを乗り越える事なんて出来そうになかった。だから、あっくんが中学入学の時にお花をくれて、約束してくれないかって聞いてくれた時、驚いたし、信じられなかった。
でも僕はあっくんが欲しかった。1番ぴったりな僕の気持ちは、それだった。それは今もそうだよ。僕はあっくんが欲しい。僕のものにしたい。そしてあっくんにも僕を欲しがってほしい。
他には誰も要らないから、あっくんが僕を抱きしめてくれたら、僕ドキドキして、とっても幸せなんだ。それに、あっくんの匂い、安心するし、ドキドキして…興奮しちゃう。
僕は他の人を好きになった事がないから、あっくんへの気持ちしか分からないけど、これが僕のあっくんを好きな気持ちなんだよ。あっくん、僕あっくんが好き。大好きだよ?」
そう言って僕は目から涙が零れ落ちるのを感じながら微笑んだんだ。
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