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第61話 篤哉side理玖の告白

 目の前の理玖の唇から紡ぎ出される俺への気持ちを、半ば呆然とした気持ちで聞いていた俺は、理玖の綺麗な目から涙が零れ落ちるのを見て、手を伸ばして抱きしめずにはいられなかった。  いつも幸せそうに笑っていた理玖が、俺への気持ちのために悩んで泣き濡れていたなんて想像もしなかった。俺が悩んで苦しんでた時、理玖も俺への愛のために苦しんでいたなんて…。  俺は腕の中の微かに震える愛しい理玖の髪に、額に何度もキスを落とした。そしてこの腕の中の理玖が自分の婚約者であるという心からの満足感を噛みしめたんだ。  俺たちはしばらく抱き合っていたけれど、腕の中の理玖が身動きしたのを感じて俺は腕の力を緩めた。理玖は俺を見上げて恥ずかしげに視線を彷徨かせながら言った。 「言葉にするって、こんなに恥ずかしく感じるんだね…。でもちゃんと気持ち伝えられてよかった。ふふ。」  そう言って目元を赤らめて微笑む理玖が愛しくて、俺は喉を鳴らして尋ねていた。 「…理玖、今日最後までしてもいいか?理玖はヒート来てないけど、俺は理玖と繋がりたい…。怖い?」  俺の言葉が理玖を赤らめさせて、腕の中の理玖の匂いはあっという間に濃厚さを増した。ああ、理玖のいつまでも嗅いでいたい甘くて脳を痺れさせるこの香り。俺は無意識に理玖の首筋を舐めていた。  ビクンとしなる理玖の背中にハッとして顔を起こすと、理玖は蕩けた眼差しで俺の首に手を伸ばして言った。 「あっくん、僕も最後までしたい…。…僕をあっくんのものにして?」  それから俺たちは待ちきれない様に唇を合わせて、貪りあった。興奮で指先が震えるのが分かって、俺は自分がコントロール出来る気がしなかった。俺は理玖を抱き上げると、部屋付きの浴室へ連れて行きお互いに剥ぎ取る様に服を脱がせた。  俺たちは何も言葉は交わさなかったけれど、甘い口づけにのめり込みながらも既に濡れている理玖の窄みを準備した。今は便利な錠剤の浄化剤があるけれど、理玖の初めては念入りに準備してやりたかった。  準備の最中もなまめかしく揺れる理玖の腰の動きに、俺は興奮が抑えられずに手を動かしながらも食らいつく様な口づけを浴びせてしまった。  息を荒げた理玖のしかめた眉が、息苦しさと快楽の狭間を反映している気がして、俺は顔中に甘く口付けた。ああ、理玖は俺のものだ。誰にも触れさせない。その事が俺を只々幸せにした。

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