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第73話 篤哉side理玖からのご褒美
ヒートの終わった理玖は気怠くて可愛いかった。ぼんやりと呆けた顔は、小さい頃のお昼寝から起きた時の理玖を思わせて、俺の心の奥をぎゅっと掴んだ。
番を赤ん坊の頃から知ってるって、俺は最高に幸せなやつなんじゃないだろうか。ふとした理玖の表情に、俺の優しい思い出がリンクして俺をたちまち幸せにするんだ。
彗さんに溺愛されてる事を、理玖自身自覚がなかったとは思わなかったけれど、確かに理玖に気づかれない様に色々暗躍していた気がする。俺はそんな彗さんを良く知っているから、あの人には決して逆らわないでおこうと随分昔に決心していたんだ。
三好家は彗さんといい、涼介といい、気を緩めるととって食われそうなタイプのアルファの一族だ。そんな中で末っ子に生まれた理玖はまるで無垢な天使の様で、三好家の面々が溺愛一辺倒なのはしょうがないとも言えるんだ。
まぁ、そうは言っても天使の理玖も時々三好家の片鱗を見せることがあって、俺は案外振り回されているんだ。可愛いだけじゃない理玖は、今まで我慢してきた俺にご褒美をあげようかと、色っぽい目つきで俺をベッドにひっくり返した。
俺は甘い理玖の匂いが急に強く香った気がして、思わず喉を動かした。俺に跨った理玖はニヤリと楽しげな表情を浮かべると、俺の着ているTシャツの上から胸元をまさぐりだした。
理玖は俺の唇に、付きそうでつかない吐息を感じる距離に顔を寄せてささやいた。
「ね、あっくんもココ、気持ちいいの?」
理玖はそう言うと、小さめな手にまさぐられてTシャツの下で少々自己主張し始めた俺の乳首を引っ掻いた。俺がビクっと身じろぎすると、理玖はご褒美をもらった猫の様に自分の唇を舐めると言った。
「ふうん。やっぱりあっくんもココ、気持ち良いんだ?じゃあ、僕があっくんがもっと気持ち良くなる様に、可愛がってあげるね?」
そう言って微笑む理玖に、俺は何だかゾクッっと怖い様な、期待する様な、何とも言えない気持ちになった。
「…理玖、何かいつもの理玖じゃないみたいだ…。」
そう弱気になった俺に、理玖はにっこり笑って言った。
「あっくんは、抵抗しちゃダメだよ?僕からのご褒美なんだからね?ふふふ、僕一度あっくんを思いのままにしたかったんだよ?でも、恥ずかしくって無理だったの。…でも、もう良いよね?」
そう言って楽しげに笑う理玖はやっぱり三好家の人間なんだって、俺は改めて目を見開かせられた気がした。ああ、俺どうなっちゃうんだろう?
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