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第80話 あっくんに連れられて

 僕は高校一年生になった。番になってから3ヶ月に1回巡ってくるヒートは3回経験した。普通なら1週間続くヒートは、番に抑えてもらうおかげで、4日ほどで済んでいる。  数日の引き篭もり程度じゃ影響しないアルファのあっくんと違って、僕はやっぱり4~5日といえども学校へいけないと、まぁまぁの影響がある。Ωが社会的に弱いのは、やっぱりその生理的な事が影響してるんだって改めて身に染みるよ。  ヒートの時は、頭が沸騰しそうにあっくんが欲しくて、あっくんのいきり勃ったそれを呑み込みたくて、ただ獣のように悶えてしまう。そんな自分が怖いくらいで、まぁ記憶も飛んじゃうからあれだけど。本能って怖いなって改めて思うんだ。  孤高のアルファにとってみたら、Ωに振り回されて制御出来なくなるって恐ろしさしかないんじゃないかな。だから昔はΩが生きにくい時代が長かったのも分かるんだ。世界を仕切っているアルファにとっては、Ωって甘い劇薬のようなものだから。  今は抑制剤も改良されたし、随分コントロール出来るようになって、僕はΩで困る事ってあまり思い当たらない。アルファのあっくんもΩの僕を溺愛するばかりだし。  僕がそんな事を考えていたのは、あっくんと繋ぐ手が熱いからだ。何か別の事考えてないと、膝がガクってなっちゃいそうな気がするんだよね。駐車場から降りたあっくんは、僕の手を繋ぐとひと言も喋らないで、マンションに入って行く。  あっくんは僕と番になってから、一人暮らしを始めた。何でもプライバシーが必要だからって言ってたけど、涼兄曰くは僕のためらしい。  僕が初めてあっくんの部屋に入った時、なんとなく既視感があったんだ。僕の部屋に何となく似てた…。あっくんにその事を尋ねると、僕の部屋の写真をインテリアデザイナーに見せてテイストを取り入れるように頼んだらしいよ。  僕、別にそこまで自分の部屋にこだわってるわけじゃないのに。あっくんは僕が居ない時も僕と一緒にいる感じがするから良いんだって。あっくんて時々怖いくらい僕のこと好きだなって苦笑いしちゃった。  そんなすっかり慣れ親しんだあっくんのマンションに着いた僕を、あっくんはぎゅって抱きしめて言った。 「ああ、いい匂い。でも理玖が足りない…。10日も会えないとか、地獄だったよ。やっぱり一緒に住んだ方がいいんじゃない?」

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