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第111話 あっくんとの生活

 「おはよ、理玖。」  いつもの様にあっくんの腕の中で目が覚めて、まだショボショボした開かない目であっくんを見上げる。僕はモゴモゴと言葉も出なくて、あっくんの首元へ鼻を押しつけて僕だけのイイ匂いを吸い込む。  朝からこんなに幸せで最高なんだけど…。僕は口元を緩めて、もう一度うとうとしてしまう。ああ、まだ成長期なのか、ほんと眠い。 「理玖起きて。」  今度はベッドにかがみ込んだあっくんが、流石に僕を寝かせて置けなくて頬にキスして僕を起こす。ああ、学校行かなくちゃ。僕がしぶしぶ起き上がると、あっくんは面白そうな顔をして言った。 「本当に理玖は朝が弱いな。まぁ、高校時代は眠いけどね。」  そう言うと、僕を抱き起こして強制的に起こさせる。はぁ、眠い…。 「…平日なのにあっくんが容赦ないからでしょ?」  僕があっくんを寝ぼけた顔で見上げると、あっくんが僕をサッと抱き上げて洗面所まで連れていった。 「ハイ、すみません。理玖が可愛くてついね…。でもほんとに学校遅れちゃうから。顔洗って来て。もう朝食は出来てるからね。」  そう言って僕を洗面台の前に立たせると、慌ててキッチンへ戻って行った。  今日は水曜日だからあっくんは午後から授業なのに、僕のために朝から早起きしてくれて、何だか申し訳ない。でも、だからって一人で起きて、自分で朝ごはん用意して、食べて高校に間に合う様に行ける気がしないけど。  多分朝食食べないで行くのがせいぜいだろうな…。そんなことを思いながら泡ポンプを押して洗顔した。あっくんと一緒に暮らす様になって、肌の調子がいい。  口の悪い尊に言わせれば、毎日エッチしてるからホルモン出まくりでプルプルしてるんだって揶揄われるけど、あながち間違ってないかもね。  昨日のエッチは最高だったし。最近時々ある、東グループの仕事から帰ってきたあっくんが、丁度お風呂上がりの僕をネクタイで拘束してエッチした昨日の盛り上がりを思い出して、僕は顔を赤らめた。ヤバい。下着汚しそう。  僕はもう一度顔を水で乱暴に洗うと、鏡の中の自分を睨んだ。僕って案外節操がないよね…。  ダイニングに行くと、あっくんが僕に甘めのカフェオレを入れてくれて丁度テーブルに置くところだった。 「…理玖、朝からそんな匂いさせて。誘惑してるのか?」  あっくんが僕をぎゅっと抱きしめて、ついでにお尻を片手でグッと掴むと僕の匂いを吸い込んだ。 「はぁ、毎朝理玖のこの匂い堪能出来るとか、俺前世でどんだけいい事したんだろ。」  僕はクスクス笑いながら、あっくんに言った。 「ふふ、きっと小さな虫でも助けたんじゃない?そうだ、今日僕、三好の家にお泊まりの日だからね。いつもは火曜日だったけど、向こうの都合悪かったから今日だよ?」

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