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第9話 やっと隣に並べた(3)★

    ◇  休日が明けて、月曜日。  いつもどおり登校するも、千佳の胸中は穏やかではなかった。 (『すぐ消える』って言ったのに! 消えねーじゃんか!?)  琥太郎につけられたキスマークがまだ残っていて、周囲にバレないか気になって仕方がない。何事もなく昼休みを迎えたものの、今日に限って体育の授業があって、そのことがより千佳を不安にさせるのだった。 (パッと着替えれば大丈夫かな……つか、体育といったら“アレ”も抜かなきゃだよな)  実は、今日も朝からアナルプラグを挿入したまま生活している。下手に刺激しなければ、どうということはないのだけれど、さすがに体育の授業は厳しい、というか無理だ。  早いところ、人知れずどうにかする必要がある。そう考えたら、もはや昼食をとっている場合ではなかった。 「ちょっと便所行ってくる」  席を立つなり、安田がこちらを見上げてくる。「どっち?」と訊かれたので、「大の方」と適当にあしらって教室を出た。  向かった先は男子トイレだ。千佳は誰もいないことを確認してから、一番奥の個室に入って一息ついた。 (……よかったあ。ちょうど誰もいなくって)  施錠すると、ズボンと下着を下ろして便座に腰かける。  そっと秘所に手を伸ばせば、硬い感触があった。アナルプラグのストッパーだ――臀部の形に沿うようなアーチ状の形状をしていて、しっかりと固定がなされている。  それを指で摘まんで、千佳は息を吐きながらゆっくりと引っ張った。 「っ、ぅ……」  ぬぷ、くちゅ、と水音を響かせてアナルプラグが抜け落ちていく。ゾクッとした快感が背筋を駆けて、思わず腰が揺れた。 (我ながら、すげーの入ってんな……)  栓が抜けて、ぽっかり開いた穴から透明な粘液が糸を引いている。  琥太郎が送ってくれたアナルプラグは、細身でビギナー向けのものらしい。が、それでも存在感があって、こんなものを入れていたのかと思うと体が熱くなるのを感じた。  ドキドキしつつも、アナルプラグをトイレットペーパーで包んで、ズボンのポケットの中に突っ込む。それから肛門を拭こうとして思いとどまった――喪失感を感じて、どことなく寂しさを覚えたのだ。 (……ちょっと、触るだけ)  窄まりはすっかり蕩けていて、軽く周囲をなぞっただけでもヒクヒクと反応を示した。  そのまま指を埋め込んでいくと、じんわりと甘い痺れが広がっていく。自分で触っているのにも関わらず、どうにも気持ちがいい。

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