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第9話 やっと隣に並べた(4)★

(やべぇ……勃ってきた)  興奮を抑えきれず、抜き挿しを繰り返す動作がだんだん大胆なものになる。これ以上はマズいと思うのに、千佳の指は止まらなかった。 「はぁっ……ん」  吐息を漏らしつつ、快感を追い求めて敏感な部分を探り当てる。  ぐりゅ、とそこを押し込んだ瞬間、電流を流されたような衝撃があった。同時に千佳は体を震わせ、声にならない悲鳴を上げる。 「~~っ!」  と、そのときだった。突如として、個室のドアがノックされたのは。  つい夢中になってしまい、誰かがトイレに入ってきたことなど気づかなかった。緊張で脈拍が一気に上昇する。 「おい、まだ入ってんのかよ」  聞こえてきたのは、明の声だった。 「は、入ってんよ! 大の方つったろ!」  大声で返しつつ、急いでトイレットペーパーを巻き取ると、素早く股間や指を拭いてトイレに流す。自身も萎えてしまったし、ズボンを上げてベルトを締めれば、あとは何の問題もないはずだ。 「うお……なに待ってんだよ。ウンコくらいゆっくりさせろよな」  ドアを開けたら、怪訝な顔つきをした明が待ち構えていた。どうしてこのようなことをするのか理解に苦しむ。 (まさか、ケツでオナってたの気づいてんじゃ……)  そう思った矢先、明の顔が近づいてきた。 「わっ、明!?」 「千佳」 「んっ……」  反射的に瞼を閉じる。キスされる――と、明の唇が触れてくるのを待った。ところが、襟ぐりを引っ張られ、千佳はぎょっとして目を開けることになった。  明はこちらの首筋をじっと見ている。そこには絆創膏が貼られていたのだが、明の手によって勝手に剥がされてしまう。 「ほんっと、こーゆーので隠すのお前らしい」  絆創膏の下には、琥太郎によってつけられたキスマークがあった。  慌てて手で覆い隠したものの、もう遅い。呆れたように嘆息されて、千佳の顔がカッと赤くなった。 「安田たちも気づいてたぞ。それ、どうしたんだよ」  明らかに怒気を含んだ声だった。千佳は目を逸らして、ぼそぼそと答える。 「これは、悪ふざけっつーか単なるイタズラで……」 「イタズラ? 誰がそんなことすんだよ」 「あー、前に会ったコタローさんって覚えてる? ちょっと会う機会があって、さ……」  言葉に詰まっていたら、明の表情がより不機嫌なものになった。 「そんで? なんでアイツと会って、こんなことになってんだよ」  明が手首を掴んでくる。表面上は純粋に怒っているように思えたが、その瞳には動揺の色が見え隠れしていた。 「明……もしかして、ヤキモチ焼いてんの?」

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