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第2話俺が好きな人はお前です

「なー、健人って好きな子いないの?」 学校の後、陸が俺の家に来て部屋で過ごしていた。 陸がベッドの上で寝そべり、年季が入ってる抱き枕をうつぶせで潰しながら最近ハマっている漫画のページをペラっと音を立て、捲りながらそう聞いてきた。 「いないよ」 「健人って好きな子いたことあんの?」 「いいなって子はいたことはあるけど・・・好きまではないかな」 「え、誰?」 「名前とかわかんないけど・・・結構前だし忘れたよ」 ベッドに腰掛けて陸の読んでいる漫画の次の巻に目を通しながら、背中越しに聞こえる陸の質問に俺は淡々と答えた。 この手の質問には予め、どう答えるか考えてある。 10年も好きな気持ちを隠し通す為に日頃から努力しているのだ。 男友達、1番の親友であればいろんな突発的な出来事がある。 その際動揺したり顔が赤くなったり、ドキドキがバレてしまったらもう親友ではいられなくなる。 ちょっとやそっとの事では・・・ がばっ! 「じゃあ健人、キスしたことないの?」 「あっ!えっ、な、な、ないよっ!て、てか、いきなり抱きつくなっ!」 「だって読み終わっちゃったんだもんー、その巻早く読めよ〜」 陸は俺が腰掛けてるベッドでゴロゴロしていていたかと思えば、今読んでる漫画が読み終わり、次の巻を読んでいる俺を急かすように 突然後ろから抱きついてきた。 「早く〜早く〜」 後ろから抱きつきながら俺の体を揺らす 「わっわかったから離れろって!」 残念ながらバックハグの免疫はまだついていない。 俺は陸に背中を向けたまま赤くなった顔と、鳴り止まないドキドキを治めることに集中した。 漫画の内容は全然入ってこないので、 読み終わったフリをして、陸に渡したら 陸は満足して、またベッドに寝転がり読み始めた。 後でまた読み直そう・・・・ 今夜は抱きしめられた温もりを思い出して眠れないだろう。

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